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高知地方裁判所 昭和58年(タ)28号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

本件の事実関係の一部を示すと次のとおりである。

「第一 原告の請求の趣旨及び原因

一 請求の趣旨

1 被告Y2は、被告Y1と訴外Aとの間に出生した子であることを確認する。

2 訴訟費用は被告らの負担とする。

二 請求原因

1 原告は、訴外亡Bの実母である。

2 被告Y2は、亡Bと訴外Aとの間の長女として昭和四〇年四月一日に出生した旨の届出がなされ、戸籍上その旨記載されている。

3 しかしながら、被告Y2は、亡Bと訴外Aとの間に出生した子ではなく、訴外Aとその養父である被告Y1との間に昭和四〇年四月一日出生した子である。

4 よって、原告は被告らに対し、被告Y2が、被告Y1と訴外Aとの間に出生した子であることの確認を求める。

第二 被告らの答弁

一 被告らの求めた裁判

主文と同旨

二 本案前の抗弁

1 前訴判決の既判力に抵触

(一) 原告は、昭和五三年二月一〇日高知地方裁判所に対し、被告Y2を被告として、「被告Y2は亡Bの子でないことを確認する」との判決を求める旨の訴を提起した(昭和五三年(タ)第五号親子関係不存在確認請求事件。以下、この訴訟を「前訴」という)。

(二) 右前訴の請求原因は、本訴請求原因1ないし4と同旨である。

(三) 前訴は、一審は原告勝訴となつたが、高松高等裁判所(昭和五六年(ネ)第三〇五号)で、原判決を取消し、原告の請求を棄却する旨の判決がなされ、原告は上告したが(昭和五九年(オ)第八六号)、昭和五九年四月一三日上告を棄却する旨の判決がなされ、同訴訟は確定した。

(四) 前訴と本訴との訴訟物は表裏一体の関係で同一であり、本訴は、前訴の既判力に抵触する不適法な訴であるから却下を免れない。

2 確認の利益の不存在<略>

第三 本案前の抗弁に対する答弁

一 本案前の抗弁1の(一)ないし(三)の各事実は認める。

二 同1の(四)は争う。

前訴の父子関係不存在確認請求が棄却され、その判決が確定したからといつて、積極的に「被告Y2が亡Bの子である」ことが確定されたわけではないから、前訴判決の既判力は本訴請求に及ばない。」

【判旨】

一まず、本案前の抗弁1について判断する。

1 本案前の抗弁1の(一)ないし(三)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。

2 ところで、一般に、消極的確認の訴の請求棄却の判決が確定した場合の効力は、相手方からの積極的確認の訴の請求認容の判決が確定した場合のそれと同一であると解されている(原告は、この考えと異る見解を主張するが、独自の見解であつて採用できない)。

3 そうすると、「被告Y2が亡Bの子でないことを確認する」旨を求めた前訴請求を棄却した前訴判決の確定は、とりも直さず、「被告Y2が亡Bの子であることを確認する」旨の被告Y2側からの積極的確認請求が認容されてそれが確定したのと同一の効力を現出したものといわなければならない。

4 そうすると、前訴判決の確定により、「被告Y2は亡Bの子である」旨の判断が確定したことになり、被告Y2が被告Y1と訴外Aとの間に出生したことの確認を求める本訴請求は、二父の存在があり得ない以上、前訴の確定した判断を覆滅させることを目的とした訴であり、前訴の既判力に抵触する不適法な訴であるといわなければならない。

5 なお、本訴では、前訴では被告とされていなかつた被告Y1が当事者に加えられているので、この点について一言するに、父子関係不存在確認の訴には人事訴訟手続法が準用されるものと解すべきであるところ、同法三二条一項、一八条一項により、その判決の効力は第三者にも及ぶことが明らかである。したがつて、被告Y1に対しても前訴判決の効力は及ぶから、被告Y1に対する本訴請求も前訴判決の既判力に抵触する不適法な訴であるといわなければならない。

二以上説示のとおりであるから、原告の被告らに対する本訴各請求は、いずれも前訴の既判力に抵触する不適法な訴であることが明らかであり、その余の点について判断するまでもなく、却下を免れ得ないところである。

よつて、本件各訴を却下し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(増山宏)

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